研究概要 |
平成13年度の研究で得られた概要は以下の通りである。 1.魚体においてそれぞれの魚種の色特徴が良く現れる箇所について,高速認識に適したパラメータを検討することにより,大脳の視覚系構造を持つ画像処理ICチップ設計のための最適な回路構成を明らかにした。特に,システムを設計する上で重要な画像メモリ容量について検討した。ステップ1では大脳の第5次視覚野の運動視機能を模擬して取り込まれた画像を間引きすることにより縮小画像を作成し,魚の大まかな位置を調べる。ステップ2では大脳の第1次視覚野の形状選択機能および第4次視覚野の注視機能を模擬して得られた位置情報を元に,小領域を任意の箇所に設定し,詳細な形状特徴を算出する。この場合のステップ1における画像メモリ容量と原画像に対する縮小率の関係を式で表し,最適な縮小率と画像メモリ容量の設計指針を求めた。 2.次に,この結果を用いてシステムの回路設計をコンピュータ上で行い,コンピュータによるシミュレーション実験により形状特徴を抽出し,色特徴抽出領域の設定時に生じる位置ずれについて考察した。ここでは,色特徴抽出領域の位置をX方向は頭部から40%の位置に,Y方向は3つの色特徴抽出領域の中心をそれぞれ背部から体高の33%,50%および66%の位置とした場合,誤差率は最大で5%以下であり,良好に色特徴抽出領域を設定できることが分かった。また,これを基に,形状が類似した同科の魚種であるサバ科のマサバ,ゴマサバ,アジ科のマアジ,ムロアジ,ニシン科のマイワシ,ウルメイワシの写真100枚を対象にして認識を行い良好な結果が得られた。さらに,システムの一部を製作することにより,高速でメモリの切り替えが行えることを確認した。以上のことより,システム設計,回路製作のための貴重な知見が得られた。
|