本年度の実績は以下のようである。 (1)白浜砂岩の単軸圧縮試験、圧裂引張試験、破壊靭性試験を実施した。 (2)稲田花崗岩の単軸圧縮供試体を作製した。 (3)ダブルトーション試験の治具を作製した。 このうち、(1)について以下に概要を述べる。ブロックにて購入した白浜砂岩試料をz軸方向に直径30mmでボーリングし、端面を整形して長さ60mmにした円柱形供試体を脱イオン水中で真空ポンプにより5〜6時間脱気したのち、ステンレス製の水槽内に満たした脱イオン水中に静置した。所定の温度(0度、20度、80度)に設定した恒温水槽から脱イオン水を循環させた。なお、当恒温水槽には冷却機能がないので、0度の場合は冷却用に脱イオン水製の氷を補助的に利用した。約2時間程経過後ステンレス製の水槽内の温度が一定になった後、リング式変位計を2個取り付け、ひずみ速度2.78×10^<-6>〜8.3×10^<-4>s^<-1>で単軸圧縮した。温度数百度にも達するような従来の研究では温度が高いほど延性的になる等の結果が得られているが、本実験の温度範囲ではひずみ挙動に対する温度の影響は認められなかった。単軸圧縮強度は0度、20度に比べて80度で1割程度小さかった。限界伸びひずみの絶対値には載荷速度とともに増加する傾向がみられた。載荷開始時を基準とすれば温度が高いほど限界伸びひずみの絶対値は小さかったが、熱ひずみを補正して0度を基準として表すと、限界伸びひずみに温度の影響はみられなかった。類似の方法で実施した圧裂引張試験や破壊靭性試験では80度の試験において同様の強度低下が見られた。破壊靭性試験の結果から活性化エネルギーを見積もると別な方法による従来の研究で得られている範囲内の値が得られた。
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