研究概要 |
道南部から道央部にかけての菱マンガン鉱をともなう鉱脈型鉱床に沿って、マンガン堆積環境を調査し、マンガン酸化活性が高いと思われる2種の細菌と1種の真菌を分離した。しかし、2種の細歯は実験室的に安定な増殖が困難であったので、1種の真菌と対照微生物として、ATCC標準株Leptothrix discophora(43182,51168)を用いて、マンガン酸化除去を試み、マンガン酸化によって得られた堆積物のキャラクタリゼーションをX線回折、蛍光X線、光電子X線分光法、走査電子顕微鏡観察によって行った。 ATCC標準株Leptothrix discophora 51168はマンガン濃度24ppmまで酸化可能であることを確認し、しんとう培養よりも静置培養のほうが安定なマンガン酸化活性を保持することが分かった。一方、マンガン堆積環境から分離したマンガン酸化真菌は、ATCC標準株Leptothrix discophoraの培地では真菌自体は増殖して大きなコロニーを形成するが、Mn(II)イオンを酸化しなかった。しかし、有機炭素源を推奨培地の1/10にまで低減することによって、50ppmのMn(II)イオンを酸化し水溶液から除去することが可能でった。すなわち、分離されたマンガン酸化真菌は、有機炭素源を制限することによりMn(II)イオンを利用するようになった。この菌はPhoma sp.であることがわかった。 Mn(II)イオン酸化によって得られた堆積物については、X線回折ではピークが得られないが、蛍光X線では明確なMnKαのピークが認められ、光電子X線分光法によりMn(III, IV)のの状態であることが明らかであった。真菌は水中に分散しやすい微細な粉末をまとめ回収に役立つこともわかった。
|