研究概要 |
メタンハイドレートはクラスレートハイドレートの一つであり、水分子が水素結合によって、ケージ状のフレームワークをつくり,メタン分子がそのケージに内包された構造をもつ。近年、このメタンハイドレートが全世界の海洋底堆積物に分布することが発見され、次世代の豊富な天然資源として期待されている。一方、メタンは、地球の温暖化に二酸化炭素より高い温室効果を示すことも知られている。したがってメタンハイドレートの高圧下の構造変化を知ることは、地球環境、エネルギー資源問題において重大な課題である。 平成12年度においては、8万気圧までの、メタンハイドレートの構造変化の概要を得た。平成13年度においては、各高圧構造の詳細とその構造中の水和数(メタン含有量)の検討を行った。メタンハイドレートは1万気圧で六方晶系の構造に変わるが、この構造中の大ケージには2個のメタンが包有されることが示唆された。すなわち、低圧の構造より、メタンを高濃度む構造となっている。さらに、2万気圧では、斜方晶系の構造に変わるが、この構造は、よく知られた氷構造に近い構造で、その中に存在するトンネル部分がメタン分子で満たされたような構造となっている。この構造では、さらにメタン濃度が高くなっていることが明らかとなった。 本研究の結果は、ガス資源固定技術開発や、メタンハイドレートの貯蔵、輸送媒体としての機能に有用な知見を与えるものである。
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