研究概要 |
昨年度は,ACS1遺伝子型と収穫前落果性に関係があることを報告したが,落果は環境,特に気象条件により左右されることが知られていることから,本年度においても同様の結果が得られるかを調査検討したところ,次の事実が明らかになった。 1.22品種の落果率は0〜95%と品種間で大きな差があったが,このうちACS1の2ホモ型品種は,最大で18%(ひめかみ)であるのに対し,ホモ型および1/2ヘテロ型では16品種中11の品種が20%以上であった。 2.さんさ×つがるなどのF1集団においても,2ホモ型の最大落果率は30%であったが,1型のホモおよび1/2ヘテロ型は16系統中12の系統が30%以上の落果率を示した。 3.収穫適期の離層組織からの抽出RNAを使用したRT-PCR実験によってもACS1の転写物は確認されなかった。 4.落果率が高い(ほぼ100%)つがるにおいてもMCPにより果実内のエチレン作用を停止させることで,落果を抑制することができた。 以上の結果は前年度とほぼ一致するものであり,果実エチレン生成量を規定するACS1遺伝子型が収穫前落果性のDNAマーカーとなる可能性が示唆された。
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