研究概要 |
本研究実施計画の下記の3項目について以下の成果が得られている。 本研究の目的は以下のようであった。(1)B.rapaおよびB.oleraceaの人為合成キメラで得られた細胞質雄性不稔がオルガネラ、ミトコンドリアおよび葉緑体の異種ゲノム分子種のシフト(ヘテロプラズミー)明らかにする。(2)そのためのオルガネラ、特に雄性不稔ミトコンドリアゲノムの構分子種造を明他にする。(3)これらの分子種の構造とその改変メカニズムを明確にする。ことであった。 研究の結果、その結果,ミトコンドリアのorf138を指標とするPCRR、FLP、Northern実験のパターンから、ミトコンドリア、葉緑体の主要ゲノムがオグラ型に近いことが分かり、オルガネラゲノムが雄性不稔型に変動していることが分かった。また、ミトコンドリアには3種類ゲノム分子種があることが分かり、主要雄性不稔関連分子種のorf138より3'側へ3kb伸ばし塩基配列を決めた結果、ダイコンのオグラ型と99%以上相同であることがわかった。現在、ゲノム分子全体をクローン化し、構造と配列を完全に極めることをめざしている。しかし、基本的には細胞質ゲノム全体が異種ゲノムのヘテロプラズミーにおける異種分子種タイプの変動と若干の変位によることが本研究でわかった。これらの成果は、国内外の学会、雑誌に発表されてきている。 さらに、こうしたミトコンドリアを中心とする細胞質オルガネラのorf138やヘテロ分子の存在をアブラナ科で調べてきたが、Sinapis albaを初めとして、B.rapaおよびB.oleraceaを含む数種の野生種、栽培種で確認している。従って、分類や種分化の点からもヘテロプラズミーの存在とその量的変動による雄性不稔に出現が明らかとなった。大変興味あることに、正常ダイコンとキャベツとの細胞融合系統からもほとんど同じ分子種タイプのキャベツが多雄性不稔系統が得られており、細胞融合によってもキメラと同様な制御が可能であることが示された。現在こうした母本を用い、アブラナで将来有望とならざるを得ない雄性不稔利用のハイブリッド育成がより可能になると期待できる。
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