研究概要 |
普通バレイショ(Solanum tuberosum)の葉緑体DNAは、241塩基の欠失部位を持つことからT型葉緑体DNAを名付けられている。昨年度の研究結果から、T型葉緑体DNAは野生2倍種S. berthaultii, S. tarijenseおよびS. neorossiiのいずれかに由来することが明らかとなった。 そこで本研究では、241塩基の欠失部位の有無に加えて、2つのPCR-RFLPやマーカー(H2とH3)と4つのマイクロサテライトマーカー(NTCP6、NTCP7、NTCP14およびNTCP18)を用いて、30系統のS. berthaultii、5系統のS. neorossii、62系統のS. tarijense、25系統のS. berthaultiiとS. tarijenseの雑種(以下、単に雑種と表記する)、およびT型葉緑体DNAを持つ11系統のS. tuberosumについて葉緑体DNAの多型を分析した。 これらの系統において24の異なる葉緑体DNA型(haplotype)が識別されたが、T型葉緑体DNAを持つ11系統のS. tuberosumはすべて同じ多型を示した(haplotype 1)。このhaplotype 1は、14系統のS. tarijenseと4系統の雑種に見られ、S.berthaultiiやS. neorossiiには見られなかった。したがって、普通のバレイショのT型葉緑体DNAは、S. tarijenseに由来することが明らかになった。
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