研究課題/領域番号 |
12660008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
育種学
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
赤木 宏守 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教授 (50315587)
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研究分担者 |
森 宏一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (70166354)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | イネ / 細胞質雄性不稔 / 稔性回復遺伝子 / マップベースクローニング / PPRタンパク質 / マイクロサテライト / Map-based cloning |
研究概要 |
細胞質雄性不稔と稔性回復システムはハイブリッドライスの開発には不可欠である。イネの細胞質雄性不稔とその回復の分子機構を明らかにするため、BT型細胞質雄性不稔を回復する稔性回復遺伝子(Rf-1)を単離することを目的とした。 フィンガープリント解析で開発したRf-1遺伝子近傍の2つのDNAマーカーを起点にRf-1遺伝子の詳細な位置の特定に成功した。さらに、この領域の塩基配列および発現の解析からミトコンドリアのRNAの修飾に関与すると考えられるPPRタンパク質をコードする遺伝子を見出し、これが稔性回復遺伝子(Rf-1)であると結論した。 琉球大学の新城らが育成したChisurah Boro II由来のBT型細胞質とその稔性回復遺伝子(Rf-1)に関する準同質遺伝子系統(MTC-10A、MTC-10R)を材料として用いた。MTC-10AとMTC-10Rの交配後代のBC1F3世代、6104個体の遺伝子型の解析から、Rf-1遺伝子の座乗領域を22.4kbの範囲に絞り込むことに成功した。 この領域について、Rf-1遺伝子を持つMTC-10Rの塩基配列を解析した。同時に、この領域の発現解析を行ない、2個のORF(Rf-1AおよびRf-1B)を見出した。Rf-1遺伝子を持たないMTC-10Aではこれらの遺伝子が構造変異を起こしており、機能を消失していることが明らかとなった。Rf-1AとRf-1Bの塩基配列は極めて保存性が高く、推定アミノ酸配列からは10個のPPRモチーフを有することが推定された。さらに、Rf-1Aについては推定アミノ酸配列からこのタンパク質がミトコンドリアに局在することが示唆され、N末端にミトコンドリア移行シグナルが存在するものと考えられた。これに対して、Rf-1Bではミトコンドリアへの移行シグナル部分が欠失していた。他の稔性回復系統ではシグナル配列部分も保存されており、T65Rとその原品種であるChinsurah Boro IIでは、シグナル配列部分での1塩基伸長により機能を消失していると考えられた。すなわち、10回のPPRモチーフとミトコンドリアへの移行シグナルを含む791アミノ酸からなるPPRタンパク質をコードするRf-1AがRf-1遺伝子であると結論した。
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