植物の重要な窒素源である硝酸塩は、野菜などに多量に蓄積して存在している。現在食品中の硝酸塩の存在は亜硝酸塩の前駆物質として食品衛生上また健康上の重要な問題点となっている。本研究では、この硝酸塩を低減させた野菜を作出するために硝酸同化系に関与する遺伝子(とくに硝酸還元酵素)を遺伝子組換えにより導入し、強制的に硝酸イオンを消費させることにより硝酸塩含量の低下した野菜を作成することを目的としている。 平成12年度は、レタス(研究代表者)とホウレンソウ(研究分担者)を材料として以下のように実施した。 レタスー複数の遺伝子を多数回導入可能であり、標識遺伝子が組換え体に残留しないというMATベクターシステムを使用する予定であり、コントロール用のMATベクターを用いて、アグロバクテリウムによる形質転換を行った。現在、形質転換体の選抜中であり、MATベクターシステムの導入の可能性を検討する。 ホウレンソウー岐阜県生物産業技術研究所で行われている方法などをもとに、品種間差異、培養のホルモン条件など植物体再分化の条件検討を行った。再分化条件の確立にはいたっていないが、今後アグロバクテリウムを用いた形質転換実験も平行して行う予定である。 平成13年度は、レタスとホウレンソウの形質転換体の作成、形質転換体の硝酸イオン及びアミノ酸の成分分析を行い、形質転換体の検定と評価を進める予定である。
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