本研究の目的は、ラッカセイの子実への同化産物の転流・分配、および窒素の吸収と転流に及ぼす植物ホルモンの影響を明らかにすることである。本年度は水耕栽培による養分吸収実験と今までのまとめを行った。 1.糖の転流・・・子実形成期から成熟期における主茎、分枝、子房柄、および莢の各器官への同化産物としての糖の転流割合を調べた。開花中期(8月11日)以降の子房柄から莢への糖の転流は少なくなり子実肥大の割合が減少する要因と思われた。 2.アブシジン酸(ABA)処理の影響・・・ABAの葉面散布と子実中の全糖含有量の関係から子実肥大中後期での種子中(特に種皮)のABA含有量の増加がサッカロースの代謝を促進し子実肥大に関与したことが示唆された。 3.ABA処理の窒素吸収と転流・・・重窒素(^<15>N)を用い子実への転流割合を調べた。また、ABA葉面散布が、窒素の主な転流形態である遊離アミノ酸にどのような影響を及ぼすかを検討した。全子実数に占める大きな子実(0.7g以上)数の割合は、無処理区と比較して増加し、特に開花後期の子実の肥大に効果が見られた。これは、ABA処理により処理後10日目、20日目の成熟途中の子実中により多くの^<15>Nが分配されたためと考えられた。また、ABA処理により、主茎基部及び開花後期の子房柄からの溢泌液中のアスパラギン含有率が増加し、さらに種皮中の全遊離アミノ酸の子葉への転流が促進したためと考えられた。 4.ホルモン処理と発芽・・・IAA+ZRの混合処理が発芽を促進した。 5.開花期以降の窒素吸収・・・多窒素処理により子房柄数は増加し、反対に結莢率は減少した。 6.まとめ
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