研究概要 |
本研究課題では,根から吸収されたカリが葉身において光合成速度を低下させるプロセスとして,葉のカリ成分が直接影響を及ぼすのではなく,拮抗的に吸収が抑制されるマグネシウムを介して維管束鞘細胞のNADP-MEとRubiscoの活性を低下させ,最終的に光合成速度を低下させていると予想し,その実体を究明した. その結果,根系にカリを処理して葉のカリ含量に差異を生じさせたところ,カリが増大すると光合成速度,気孔伝導度,水ポテンシャル,浸透ポテンシャルが低下し,また,NADP-ME,Rubiscoも低下した.葉のマグネシウム含量を調べたところ,カリの増大に伴い減少した. そこでNADP-MEとRubiscoの活性測定時にマグネシウムの濃度を変えてみたところ,高濃度のカリ条件下で栽培されたサトウキビの葉の両酵素活性は,低濃度で栽培されたものに比較して全体的に低かった.従って,NADP-MEとRubiscoに対するカリの影響は,不可逆的であり,葉の成長の初期段階で決定されていると推察された.
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