研究概要 |
本研究課題では,昨年度までに,土壌中に蓄積している過剰なカリをサトウキビの根が吸収し,葉身において光合成速度を低下させるプロセスとして,拮抗的に吸収が抑制されるマグネシウムを介して葉の維管束鞘細胞の光合成鍵酵素であるNADP-MEとRubiscoの活性を低下させて光合成速度を低下させていることを明らかにした. 本年度は,サトウキビの絞りかすであるバガスを炭化して得られるバガス炭がサトウキビの糖度,収量に与える影響を調査し,沖縄におけるカリ成分に着目した循環型農業の可能性を検討した. バガス炭にはカリ成分が多量に含まれるが,その混入量の違いがサトウキビの成長および品質に与える影響を調べた.土壌1kgに対しバガス炭を10,30,50g(処理区名:10g区,30g区,50g区)となるように施用した.施肥は,改良型ホークランド水耕液を週1回,1ポット当たり500ml与え,潅水は適宜行った.植付け5ヵ月後のサトウキビの茎長,茎重,搾汁液元素成分および糖度を測定した. その結果,バガス炭に含まれるカリウムは,サトウキビに吸収されることが確認された.また,バガス炭処理におけるカリウムの吸収量の変化がサトウキビの生育,品質に影響を与えないことから,バガス炭は,カリウム肥料の代替になるのではと考えられた.したがって,バガス炭による土壌物理性の改善とともに,サトウキビの胆料の削減が期待できることを明らかにした.
|