トマトの果実のジベレリンとサイトカイニンを効率的に定量するために、入手可能な種類の標品であるジベレリン1、4、9、19、20、53およびイソペンテニルアデニンとイソペンテニルアデノシンの非標識体と重水素標識体に関して、HPLCカラムにおける保持時間などの基礎的な特性および液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)の感度向上のためにマススペクトルなどの情報を得た。サイトカイニンではHPLCの25cmのカラムの2本接続では非標識体と重水素標識体の保持時間がかなり離れるので、保持時間の確認には非標識体と重水素標識体の両方の注入が必須であることが判明した。 トマトの茎でのインドール酢酸(IAA)の極性移動の速度を求める方法を検討した。その結果、赤インクを付けた[2-14C]IAA希釈液が、茎の維管束を通って瞬時に輸送されたことから、液体でIAAを施与する方法では輸送速度を求めることが出来ないことがわかった.さらに寒天でIAAを施与する方法でも同様に茎の維管束を通って瞬時に輸送されたので、維管束の発達した成体植物での茎の極性移動の速度は芽生えでの方法の同様な適用では測定できないことがわかった。 さらに、トマトの茎でのIAA極性移動の速度の測定方法に関して、受容体の面から検討した。放射能を回収するために使用した受容体は、固体寒天ブロック、リン酸緩衝液、組織受容体の3種類であった。その結果、寒天受容体が最も多くIAAを受容した。ジャスモン酸メチルエステル(MJA)はLC-MSで検出できる設定を見いだせなかった。
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