1.花卉種苗のin vitro生産を簡便に行うために、培地に直接加用処理する殺菌剤の種類と濃度を明らかにし、次亜塩素酸ナトリウムの他、塩素化イソシァヌール酸も有効であることを認めた。それに基づき、熱に弱い種々のプラスチック容器のうち、ポリスチレン容器、ポリ塩化ビニル容器、ポリエチレン袋を用いて、殺菌剤加用によりオートクレーブを行わずに滅菌培地を作成でき、これらの培地に幼苗を培養して育成できることが確かめられた。殺菌剤を利用した非無菌条件下での植えつけ法も検討した結果、植えつけ後、上記塩素殺菌剤の噴霧処理により、クリーンベンチを用いずとも容易に無菌化を保つことができ、この方法がラン類の種子、PLB、幼苗、キク、カーネーション、サトイモ、トウテイラン等のin vitroでの種苗生産に適応でき、実用的な方法になることが確かめられた。 2.ウイルス無毒化を簡便に行うために、カーネーションやシンビジウムなどを用いて、通常の無菌下、解剖顕微鏡を用いて採取する葉原基2枚の茎頂切片の他、葉原基を多くつけて大きくした茎頂切片を無菌条件下で採取するだけでなく、非無菌の条件下で顕微鏡を用いずに採取し、それらの茎頂切片の培養を行って、得られた幼苗の増殖、生育の様相を比較し、ウイルス感染の有無を調査した結果、カーネーションでは4枚または6枚の大きな茎頂切片を非無菌条件下で採取した場合でも、CaMoVが検出されない幼苗が多くみられた。シンビジウムでも茎頂培養によって得られたPLBをさらに培養して増殖するごとにCyMVの検出頻度は低下し、また、コチョウランのように茎頂培養ができない種類でも、花茎えき芽培養と葉片培養によって得られたPLBにはCyMVが非検出で、いずれも薬害も認められず、簡便にウイルス無毒化できる可能性が見出された。
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