カンキツの染色体の識別にはCMA染色が有効であり、'土佐文旦'と'水晶文旦'との交雑実生においてCMA染色に基づく染色体構成を調査し、'土佐文旦'染色体の対合様式を検討した。交雑実生2倍体の染色体構成における各染色体型の出現範囲から、'土佐文旦'染色体の対合様式はAB+2CC+CD+DE+4EEまたはAB+2CC+DD+CE+4EEと推定された。交雑実生3倍体および4倍体の染色体構成から、2倍体間の交雑で3倍体が出現するのは、減数第1分裂または第2分裂での非還元雌性配偶子に起因する場合と非還元雄性配偶子に起因する場合のどちらも存在すると考えられた。 CMA染色において同型染色体を識別するために、CMA(+)領域のシグナルの相対的な大きさの違いに着目して検討したところ、A型染色体は2種類に、C型とD型染色体は3種類に分類できた。この指標をもとに、'谷川文旦'染色体は12グループに、ダイダイでは9グループに識別することができた。 '土佐文旦'と'水晶文旦'において、CMA染色の同型染色体を識別するためにGISH法を検討した。'土佐文旦'ではウンシュウミカンDNAをプローブに用いることにより、色調とシグナルの大きさのの違いから9グループに識別することができた。'水晶文旦'では'ダンカン'グレープフルーツDNAをプローブに用いて9グループに識別することができた。 ウンシュウミカン染色体に対して1kbと3kbのカンキツRAPDマーカーを用い、in situ PCR法を検討した。染色体DNAをPCRで増幅する際にBio標識を行う直接法および染色体DNAをPCRで増幅し、Bio標識したRAPDマーカーをハイブリダイズさせる間接法ともにシグナルを検出できなかった。
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