研究概要 |
園芸作物・果実果皮のエチレン誘導-脱緑・黄化(クロロフィル代謝)に関与する酵素類の単離・精製を行った.クロロフィル(Ch1)代謝のTypeI反応に関与する酵素としてChlorophyllase以外にC-13^2-カルボキシルピロフェオフォルビドaを生成する酵素(CPFE)をウンシュウミカン果皮・エチレン処理-ブロッコリー花らいより単離・精製を行った. Ch1代謝の「Key」酵素であるChlorophyllase遺伝子(Cu-CHL)をウンシュウミカン果皮・トマト果皮・カイワレダイコン子葉・シロイヌナズナ葉・ピーマン果皮より単離.また,シロイヌナズナ葉・トマト果皮からデイファレンシャル・デイスプレイ(D.D)法によりCh1 bリダクターゼ遺伝子を単離. Cu-CHLのdelation実験により機能的構造解析を行なった.C末端の21塩基(7アミノ酸)欠損では酵素活性に影響はなく,それ以上の欠損・リパーゼモチーフのセリン残基を欠損・変異を行なった場合ではChlorophyllase活性を示さなかった.Cu-CHLのC末端領域の3次構造の重要性が示唆された. 切り花スィートピー花弁の退色機構を検討した,花弁cDNAライブラリーよりLoADPX(アントシアニン分解酵素)を単離・RT-PCR・ノーザンハイブリダイゼーション解析の結果,STS-誘導LoAPDX 1の発現はシクロヘキシミドで顕著に阻害された.花弁の老化中にアポトーシス制御遺伝子Bc12様遺伝子(LoBc12Lとする)mRNA発現量の変化を確認した,さらに,LoDad1(アポトーシス細胞死抑制遺伝子)を単離.そのmRMA発現量は構成的であった.花弁の老化兆候に伴いその遺伝子の発現レベルは完全に抑制され,STS/糖(シュークロース)処理により,LoDad1のmRNA遺伝子の発現レベルは一過性的に増大・構成的レベルで維持した.さらに,花弁の老化過程の進行につれて,アポトーシスの生化学的特徴(クロマチンの凝縮・核の断片化・DNAのラダー化)が観察された.また,DNAのラダー化機構の実行因子であるヌクレアーゼ・老化因子のシステインプロテアーゼ(LoCyPとする)を単離.花弁の老化の進行に伴いLoCyPの発現が誘導・転写レベルが増大した.LoCyP発現レベルはSTS/糖処理で阻害され,雌蕊除去処理により,LoCyPの発現レベルは阻害された. 以上の結果より,STS/糖類による加齢・アポトーシス制御作用の可能性が示唆された.
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