研究課題/領域番号 |
12660034
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
上甫木 昭春 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (70152858)
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研究分担者 |
下村 泰彦 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (50179016)
増田 昇 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00181652)
佐藤 治雄 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00081521)
加我 宏之 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (00326282)
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キーワード | ビオトープ / 学校 / ランドスケープテザイン / トンボ / チョウ / 多様性 |
研究概要 |
本年度は、阪神地域に立地する16校を調査対象学校として選定し、学校周辺地域のランドスケープの多様性と学校ビオトープの多様性に着目して、昆虫相の出現状況から学校ビオトープのランドスケープデザインのあり方を探った。 学校周辺地域のランドスケープの多様性は、1km圏域の土地利用を市街地、緑地、水面、農地、山林の5分類から捉え、その土地利用構成と市街地占有面積から把握した。学校ビオトープの多様性は、水面の状況(流水面、止水面の有無)、植栽状況(低木、草地、芝生の有無)、高中木層の被度、整備面積から把握した。各学校における昆虫相の調査は、最も人々に親しまれ観察が比較的容易であるトンボとチョウを対象とするものとし、生息環境の異なるトンボ16種とチョウ12種を選定し、夏と秋の2時期、各2週間づつ指標種の出現種と出現数の記録を各学校に依頼した。 学校周辺地域のランドスケープの多様性と学校ビオトープの多様性から、トンボ、チョウのそれぞれで学校ビオトープ環境を類型化した。昆虫相の出現状況と学校ビオトープ環境との関係性をみると、トンボの出現には、周辺地域のランドスケープの多様性にも増して学校ビオトープの多様性が優位に影響する傾向にあることが分かった。一方、チョウの出現状況を見てみると、学校周辺地域のランドスケープの多様性と学校ビオトープの多様性の両多様性がチョウの出現状況にほぼ同等に影響していることが明らかとなり、特に、周辺地域の農地の存在や学校ビオトープにおける草地の存在、高中木層の被度の高さがチョウの出現状況に影響していることも分かった。しかし、学校ビオトープ環境を類型化するために設定した2軸で解釈し難い学校があった。すなわち、トンボの出現にはプール、チョウの出現には菜園、樹木園が誘引要素として考えられ、トンボとチョウの誘引を阻害する要因としては、建物やネットフェンス等の要素が影響していると考えられたが、来年度さらに検討する課題として認識された。
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