本年度は、50KP発現植物のリンゴクロロティックリーフスポットウイルス(ACLSV)に対する感受性の増加とブドウえそ果ウイルス(GINV)に対する抵抗性の増加が、両ウイルスの細胞間移行タンパク質(MP)間の相互作用によるものかどうかを調べ、次のような結果を得た。(1)GINV-MPである39KPとグリーン蛍光タンパク質(GFP)の融合タンパク質(39KP:GFP)を非形質転換植物(NT植物)と50KP発現植物の表皮細胞で一過的に発現させると、NT植物では39KP:GFPの蛍光が一次発現細胞からそれに隣接する細胞に広範囲に移行する様子が観察されるのに対して、50KP発現植物では、ほとんどの場合39KP:GFPは単細胞(一次発現細胞)にとどまっていた。一方、50KP:GFPをこれら植物で発現させた場合に、NT植物でも50KP発現植物でも同じように蛍光が細胞間移行した。(2)NT植物でおよび50KP発現植物からプロトプラストを単離し、39KP:GFPを発現させると、NT物ではほとんどのプロトプラストの表面に管状構造が形成されたのに対して、50KP発現植物のプロトプラストでは管状構造に形成が著しく阻害された。50KP:GFPを50KP発現植物のプロトプラストで発現させても管状構造形成阻害は認められなかった。 以上から、50KPは39KPの細胞間移行およびプロトプラスト表面での管状構造形成を著しく阻害することが明らかになった。
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