本年度は、ブドウえそ果ウイルス(GINV)の移行タンパク質(39KP)を発現する植物がGINVやリンゴクロロティックリーフスポットウイルス(ACLSV)に対してどのような反応を示すかを解析する目的で39KPを発現するNicotiana occidentalisを作出した。 アグロバクテリウム法によりN. occidentalisにGINV-39KP遺伝子を導入後、再生した植物をPCRおよびノーザンブロット分析したところ、39KP遺伝子の導入とそのmRNAの発現が確認された。さらに大腸菌発現の39KPに対して作製した抗体を用いてイムノブロット分析したところ、予想された位置にバンドが検出され、39KPが発現していることが明らかになった。T1世代の植物を育成し、GINVおよびACLSVに対する反応を調べたところ、GINV接種区では非形質転換植物と同様にウイルスが増殖し、病徴が現れた。一方、ACLSV接種区では、非形質転換植物と比較すると、ウイルス増殖量が低く、また病徴の程度も弱かった。以上から、39KP発現N. occidentalisはACLSVに対して抵抗性を示すことが明らかになった。 また、ACLSVの50KP-GFPを39KP発現N. occidentalis葉の表皮細胞でトランジエントに発現すると、50KP-GFPの細胞間移行が阻害されることが明らかになった。
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