1. マダニOrnithodoros moubataの産卵における内分泌的な調節機構を明らかにするために、未交尾メスに、エクジソンを局所施用した。その結果、未交尾メスでは見られないはずの産卵が、エクジソンによって誘導された。 2. 体液中、虫全体、生殖器官のエクジステロイド量を未交尾メス、交尾メスそれぞれについて測定を行った結果、未交尾メスでは、エクジステロイドおよびVgは低濃度に保たれており、卵巣は成熟せず産卵も起こらなかった。一方、交尾メスでは、体液で3つ、虫全体で4つの明確なエクジステロイドのピークがみられた。マダニの卵黄形成および産卵にエクジステロイドが関与していることが示唆された。 3. O.moubataのecdysteroid receptor(EcR)とretinoid X receptor(RXR)の一時構造の決定を行った。その結果、EcRには少なくとも3つのアイソフォームがあることが示された。現在、Northern Blotによりこれらの遺伝子の発現動向を調べ、卵形成との関連を調べている 4. 作成したビテロジェニンcDNAライブラリーを用いて、ビテロジェニン遺伝子の全塩基配列を解析している。エクジステロイド応答配列をもつかどうか確かめることができれば、より深く卵黄形成の機構を知る手がかりとなる。
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