研究概要 |
1.揮発性産卵刺激物質の生物検定法について検討し,新たに,処女メスを用いた生物検定法を開発した.すなわち,処女メス,既交尾メスともに日齢が進むと寄主植物がない状態でも産卵してしまうものの,処女メスの方が寄主の匂いの有無に,より厳格に反応することがわかった.この検定法により,揮発性物質の産卵刺激活性の有無を正確に評価できるようになった. 2.アワノメイガOstrinia furnacalisおよびウスジロキノメイガO. latipennisのそれぞれの代表的寄主であるトウモロコシおよびイタドリの産卵刺激物質に関する分析を中心に行った.両種ともに,植物から放散されている揮発性物質と植物の葉表面にある不揮発性物質の両方に産卵刺激活性がみられた.抽出物中の主成分は炭素数24〜29の炭化水素と同定されたので,合成標準物質の産卵刺激活性を生物検定中である.揮発性物質については,SPME(Solid Phase Micro Extraction)法による捕集とGC-MS分析により,活性成分候補の化学的同定を進めている. 3.エクジステロイドに対する幼虫の行動反応を調べた.広食性のアズキノメイガは,単食性のフキノメイガや狭食性のゴボウノメイガに比較して,20-ヒドロキシエクダイソンに対する感受性が低かった.また,電気生理学的に幼虫の味覚感覚器から20-ヒドロキシエクダイソンに対する反応をみたところ,アズキノメイガは他の2種に比べて反応の閾値が高かった.植物中のエクジステロイドに対する感受性は,アワノメイガ属においては,広食性の種の方が低いことが明らかとなった.
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