研究概要 |
まず微小移動運動補償装置の基本構成と動作原理を次に示す。電動スライダー付きX-Yテーブル上のプレートに乗せた観察対象の微小動物を上方から高速ビデオトラッカーで捕捉し、演算した位置情報をパーソナルコンピューターに転送する。その位置を原点に戻すようにX-Yテーブルを動かせば、対象は元の位置に引き戻され、歩きながらも一点に留まる結果となる。具体的にはまずコンピューターで制御位置を演算し、モーター制御基板を介して、テーブルを動かすX-Y2軸の多点位置決め電動スライダーに位置制御をかけて、移動する対象を原点に引き戻す。 本年度は、X-Yテーブルの設計・製作、並びに制御プログラムの開発をおこなった。電動スライダーのモーターには,位置制御時の節度と滑らかな駆動を両立させるために,ステップ角の励磁制御による分割が可能なマイクロステップ仕様のステンピングモータを導入した。しかしステンピングモータ特有の振動は完全には除去できず、X-Yテーブルの平滑な運転のためには、負荷と励磁電流値の調節で対処した。マクロレンズを装着したビデオトラッカーにより、μm/pulseの制御も可能となったがやはり振動の影響が認められ、対策を検討中である。ドライバーソフトウェアについては、球体を使った既存の移動運動補償装置のものを若干改変して使用する予定であったが、最近のコンピューター上では開発環境をそのまま使用できないため、OS、コンパイラー、エディターからなる同等の環境の整備を余儀なくされた。現在は基本的制御プログラムの開発が完了し、DIOボードを介したビデオトラッカーからの位置情報の入力にもとづく、X-Yテーブルの試運転をおこなっている最中である。
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