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2001 年度 実績報告書

絹糸腺のpHおよび水分調節からみた液状絹のゲルーゾル転移機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 12660054
研究機関鳥取大学

研究代表者

東 政明  鳥取大学, 農学部, 助教授 (20175871)

研究分担者 森 肇  京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (80201812)
甲斐 英則  鳥取大学, 農学部, 教授 (60023412)
キーワードV-ATPase / 水チャンネル / 絹糸腺 / 液状絹タンパク質 / 能動輸送 / カイコ
研究概要

カイコ絹糸腺は,繭の主成分である絹タンパク質を専ら生産する組織で,前部・中部・後部の三つの部位に機能分化している。前部絹糸腺は絹タンパク質生産には与らないがプロトンポンプ(H+-ATPase)であるV-ATPaseが存在することから,腺細胞の水分調節や絹タンパク質を貯留する腺腔のpH調節に関与していると推定した。本研究では絹糸腺細胞の能動輸送系の実体を明らかにすることによって,絹糸腺の水分調節・浸透圧調節の機構,さらに腺腔内のpH調節を通じての液状絹タンパク質の溶液内構造・物理化学的性質への寄与について考察し,カイコの吐糸生理の分子機構を解明しようとするものである。本年度は以下に記した成果を得ることができた。
1.エリサン絹糸腺細胞におけるV-ATPaseの免疫組織化学
カイコで既に明らかにした原形質膜;V-ATPaseの分布が,カイコに固有の特徴であるのか,あるいは絹糸昆虫に共通するものか,エリサン5齢幼虫の絹糸腺で調査した。エリサンにおいても前部絹糸腺でV-ATPaseの分布を確認した。また,エリサン中部絹糸腺にも原形質膜タイプのV-ATPaseが分布していることがわかった。カイコでは吐糸変態期になると,この原形質膜V-ATPaseが消失するが,同様のことがエリサン絹糸腺でも起こっていることを確認した。つまり,5齢幼虫の絹糸腺肥大成長期にみられる原形質膜V-ATPaseによる腺腔内の酸性化は,絹糸昆虫に広くみられる生理機能であると推察された。
2.カイコ絹糸腺における水チャネルの遺伝子発現
細胞内外への水の輸送は,水チャネル(アクアポリン,AQP)と呼ばれるタンパク質が水の通路として機能している。水チャネルの存否を確認することはH+の能動輸送が,いかなる生理作用を行なっているかを知る一つのマーカーとなるので,AQPを遺伝子発現レベルで調査した。AQPの遺伝子発現は,5齢幼虫の絹糸腺肥大成長期と対応し,吐糸開始とともにその発現が速やかに減少することがわかった。すなわち,絹糸腺全体の水分調節の働きを理解する上において,V-ATPaseのみならず,AQPを追究することも重要であることが明らかになった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Azuma, M., Milyamoto, Y., An, Z.: "The distribution of H+-translocating vacuolar-type ATPpase in the middle silk gland cell of Bombyx mori"J. Insect Biotech. Seric.. 70・1. 25-32 (2001)

  • [文献書誌] 東 政明: "消化管とその機能。"昆虫学-基礎と応用-""三橋 淳編著,朝倉書店,東京(分担執筆)(印刷中). (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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