研究概要 |
アーバスキュラー菌根菌(以下AM菌)は、作物根に共生し、リン酸などの無機養分を宿主植物へ供給して作物生育を促進する有用微生物である。このAM菌の利用拡大を図るためには、肥料や農薬などの肥培管理が根に共生しているAM菌の群集構造に及ぼす影響を知ることが重要となる。本研究では植物根から直接AM菌の18SrDNAを抽出してPCR増幅後、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法によって、AM菌の群集構造を解析することを試みた。 実験には5種類のAM菌胞子(Glomus etunicatum,Glomus mosseae,Gigaspora margarita,Gigaspora rosea,Acaulospora longura)を供試した。まず胞子をすり潰し、Chelex樹脂を加えて凍結と融解を3回繰り返してDNAを抽出した。また、比較としてFusarium sp.とMortieralla alpinaの菌糸からもボイル法でDNAを抽出した。これらのDNAを鋳型として、プライマーSS38・NS21でPCR反応した後、増幅産物を再びプライマーGCNS1・NS21でPCR増幅した。このPCR産物を用いてDGGE(変性剤濃度:20〜40%・泳動時間:4時間)を行った。実験の結果、G. etunicatumとGi. margaritaを除く試料のDNAは全て異なる位置に分離し、PCR-DGGE法を用いることで共生しているAM菌の群集構造が解析できる可能性が示された。
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