研究概要 |
本年度は低N土壌条件下でバイオマス中のNが植物にどの程度利用されるか、また植物根城におけるPの移動性にバイオマスがどの程度寄与しうるかを検討した。 1.低N条件下における微生物バイオマスNの植物による利用 土壌にグルコース、セルロースとともに、(^<15>NH_4)_2SO_4を0,20,40,80μgN/g soil加えた土壌を培養し、バイオマス体内に添加^<15>Nを取り込ませた(無機態Nはいずれも1mg/kg以下)。この土壌にあらかじめペーパーポットで栽培したエンバクを移植し、バイオマス窒素量、無機態N量、植物の^<15>N吸収量などを測定した結果、エンバクのN吸収はバイオマスNで40μgN/g soil以上では認められたが、20μgN/g soi似下では全く認められなかった。このことから、植物と微生物間の養分競合の生じる濃度範囲の推定が可能となった。 2.植物根域における微生物バイオマスによるリンの移動性 植物の根城と非根城土壌(各距離毎に採取できる)に分けて栽培できるポットにシコクビエを栽培し、^<14>CO_2を同化させ,植物根から放出された^<14>C化合物のバイオマスヘの取り込み量を測定した.また,別に同様のポットを準備し,^<32>pをH_3^<32>PO_4として添加しバイオマスヘの^<32>pの取り込みとそれに伴う^<32>pの移動性を経時的に測定した結果、植物に同化した^<14>CO_2の0.5%がバイオマス中に取り込まれ、その量は植物根部からの距離が近いほど多かった.また,添加^<32>p量に対するバイオマスの^<32>pへの取り込み割合は植物根圏に近づくほど経時的に増加したことから、植物根城においては,植物根から放出されるC源によりバイオマスが形成されることや植物根城のバイオマス形成によりPの土壌中での移動が可能となることなどが明らかとなった
|