研究概要 |
本研究は、我々が取得しているイネ、ダイズ、ミヤコグサ由来のAspAT,Uricase,PEPCK,NAD-malic enzyme等の根粒内で特異的に発現増幅することが確認されている窒素栄養、炭素代謝に関与する重要遺伝子に着目し、これらの遺伝子の発現解析を行った。 平成12年度には以下のような成果があった。 1)2種類のダイズウリカーゼ(UR2,UR9)を大腸菌内で大量発現させ、酵素学的特徴を解析した。2種類のウリカーゼ酵素は尿酸、酸素に対する親和性が若干異なるもののほとんど類似した特徴を持っていた。 2)1)で行った2種類のダイズウリカーゼ遺伝子のプロモーター領域をGUS遺伝子に融合したコンストラクトを作成し、ミヤコグサに導入した。その結果、UR2遺伝子は各器官でGUS活性を誘導した。特に根粒菌を感染させると各器官で高い活性を誘導した。中でも根粒内で非常に強いGUS活性を示した。UR9に関しては現在解析中である。 3)ミヤコグサウリカーゼ遺伝子を発現抑制させたコンストラクトを作成し、ミヤコグサに導入した。その結果、アンチセンスミヤコグサは野生株に比べ矮化していた。 4)NAD-malic enzyme遺伝子を欠損した根粒菌を相同組み換えにより作成した。この欠損株はダイズと感染すると根粒形成が野生株に比べ遅れるという形質がみられた。 5)C4植物の維管束鞘細胞で発現するAspAT,PEPCK遺伝子プロモーターをGUS遺伝子につなげたコンストラクトをイネに導入した。その結果、イネにおいては維管束組織でGUS発現を誘導した。 今後はさらに詳細にこれらの研究について解析を行っていく予定である。
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