[1]Sulfolobus sp. strain 7のOFORのX線結晶構造解析について、結晶化の条件を検討したが、昨年度以上に良いX線反射を示す結晶は得られなかった。昨年度遺伝子発現系を作成したAeropyrumのOFORについても現在のところ解析に適した結晶は得られていない。構造解析には見るべき進展が無かった。 [2]Sulfolobus sp. strain 7のOFORの活性中心残基の同定 既にaサブユニットの保存配列YPITPの各部位の変異体を作成して性質を調べたが、本年度は他のOFORの立体構造及びアミノ酸配列アラインメントの比較に基づき、基質 2-オキソ酸の結合に関与すると考えられる5個の残基をSulfolobus OFORで特定し、この中のArg344は必須、Thr353は活性に重要であり、b-サブユニットのLys49とLeu123は各々2-オキソグルタル酸とピルビン酸にたいする特異性を決定する残基であることを明らかにした。また、CoA結合モチーフと考えられるGXXGXGのGlyは、どの一つをAlaに変えても活性を全く失ったことから、CoA結合に必須と推測された。 [3]本研究の過程で、同じSulfolobus sp. strain 7株から、インドールピルビン酸を酸化的に脱炭酸してインドール酢酸を生成するが、フェレドキシンにもCoAにも依存しない新規な酵素を発見した。恐らくビオチンによる脱炭酸反応で生ずるインドールアセトアルデヒドを、モリブデン、フラビン、鉄硫黄クラスターにより酸化していると考えられる。
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