研究課題/領域番号 |
12660075
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片岡 道彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90252494)
|
研究分担者 |
小川 順 京都大学, 農学研究科, 助手 (70281102)
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
|
キーワード | ラクトン化合物 / ラクトナーゼ / ハロペルオキシダーゼ |
研究概要 |
種々の菌株から単離されたラクトナーゼについて、構造・機能に関する解析を行った。Fusarium oxysporum由来のラクトナーゼ遺伝子をAspergillus属やAcremonium属カビの発現系を用いて、発現させることに成功した。Aspergillusでの発現では酵素は菌体内に発現できるため菌体をアルギン酸カルシウムで固定化した後、触媒としてDL-パントラクトンの光学分割に利用できることがわかった。また、Acremoniumでの発現では酵素を菌体外に著量生産させることができることから、酵素そのものを触媒として用いる反応系への応用が期待される。一方、Acinetobacter calcoaceticusに見出したラクトナーゼの遺伝子を大腸菌で大量発現させることに成功した。この菌体を直接触媒として用いることにより、セトラキサート等の医薬原料の効率的生産が可能となった。さらに、A. calcoaceticusのラクトナーゼの生体内での生理学的意義を調べるために、ラクトナーゼ遺伝子周辺の遺伝子構造を明らかにするとともに、ラクトナーゼ遺伝子欠失株を調製して検討を行った。その結果、本ラクトナーゼは過酢酸等の酸化的ストレスに対して、抵抗性を示すために防除的に作用しているものと推定された。この他にも、Agrobacterium tumefaciensのラクトナーゼやPseudomonas putidaのラクトナーゼについて、解析を行った。今後これらのラクトナーゼが工業用触媒として利用されることが大いに期待される。
|