膜結合型TNF(Pro-TNF)は、最近'リガンド'としてだけでなく、レセプターからのシグナルを受容しこれを細胞内に伝えるReverse-Signalingの'受容体'としても機能することが明らかにされ、その機構ならびに生理的意義が注目されている。 本研究では、この膜結合型TNF分子中の、細胞質への情報伝達を担う細胞質領域に生ずる蛋白質修飾について検討した。 Pro-TNFおよびその変異体のcDNAをウサギ網状赤血球ライセートをいたin vitro転写/翻訳系あるいはCOS細胞発現系で、種々の蛋白質修飾に特異的なRI-標識基質の存在下で発現した。これを抗TNF抗体で免疫沈降後、SDS-PAGEに供与し、Western blottingにより蛋白質発現を、またフルオログラフィーにより蛋白質修飾を検出した。その結果、[1]Pro-TNFの細胞質領域には、これまでに報告されている蛋白質リン酸化以外に、蛋白質N-アセチル化および蛋白質パルミトイル化が生じること[2]Pro-TNFのN-末端領域に関する部位特異的変異体を用いた解析から、Pro-TNFのN-末端Ser残基には、N-アセチル化とリン酸化の2種の異なる蛋白質修飾が生じることが明らかになった。
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