研究課題/領域番号 |
12660084
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
高木 博史 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (50275088)
|
研究分担者 |
和田 大 福井県立大学, 生物資源学部, 助手 (00301416)
中森 茂 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (00254243)
|
キーワード | 出芽酵母 / N-アセチルトランスフェラーゼ / プロリンアナログ耐性 / 転写調節因子 / パーミアーゼ / ゲノムプロジェクト / L-アゼチジン-2-カルボン酸 |
研究概要 |
我々はゲノム解析が終了した出芽酵母S288C株には存在せず窒素源応答や形態形成に特徴のある出芽酵母Σ1278b株に特有の新規遺伝子(MPR1)を発見した。MPR1は遺伝子破壊や他の出芽酵母への導入実験から、本菌株のプロリンアナログ(L-azetidine-2-carboxylate;AZC)耐性に関与することが示された。本年度はMPR1によるAZC耐性機構の解明を目的に、酵母や大腸菌で同遺伝子を発現させた。Mprl蛋白質の一次構造は、N-アセチルトランスフェラーゼスーパーファミリー(NAT)である出芽酵母の転写調節因子Spt10蛋白質と相同性がある。そこで、MPR1が発現している酵母では、プロリンのパーミアーゼ遺伝子(PUT4,GAL1)の転写が抑制され、細胞内へAZCが取込まれずAZC耐性になると予想したが、両遺伝子の転写量に変化はなかった。また、プロリンが唯一の窒素源でもパーミアーゼは正常に機能し、生育は良好であった。しかし、MPR1を大腸菌で発現させると酵母と同様にAZC耐性を示すことから、Mpr1蛋白質はAZCに直接作用すると考え、MRP1を発現する酵母や大腸菌の無細胞抽出液を用いてアセチルトランスフェラーゼ活性を測定した結果、Mpr1蛋白質はAZCのアセチル化酵素であることが判明した。さらに、NATの保存モチーフに相当するMpr1p各残基(R145-G146-Q147-K148-V149-G150)を各々Alaに置換した変異型MPR1を構築し、出芽酵母に導入した。その結果、AZC耐性とアセチル化活性はリンクしており、Mpr1pはNATに属する新しい酵素であると考えられた。
|