1.Sphingomonas属細菌の同定試験と生成多糖類の組成分析 16SrRNA塩基配列で最も相同性の高いS.rosaとDNA-DNA交雑を行った。その結果、80%以上の相同性を示したので、この多糖類生産菌をS.rosaと同定した。今までにS.rosaが多糖類を生産するという報告は皆無である。生成多糖類の構成糖は、グルコース、マンノース、ラムノース、及びマンヌロン酸であることが判明した。多糖類生産の最適温度は25℃で、炭素源としてシュークロース、グルコース、エタノールを使用した時に生成量が多く、窒素源としてはKNO_3を用いた時が良かった。培養時のpHはpH8付近に維持する事が良いと判明した。また、培養後エタノールで多糖類を抽出すると、液の上層に浮かんでくる多糖類と、液の下層に沈澱している多糖類の2種類があることが判明した。しかし、構成糖は似ていた。 2.Rahnella aquatilisの生産する多糖類を加水分解する酵素の精製 土壌から分離した酵素生産菌であるArthrobacter属の細菌の酵素分泌条件を調べたところ、培地に酵母エキスを1g/l添加する事で分泌量が増大した。また、ミニジャーファメンター培養1日後で酵素活性が高かった。培養液から菌体を除去し、硫安を40%から80%添加した画分に酵素活性が高かった。その後、疎水クロマトグラフィーを行ったところ、きれいにタンパク質は分画できたが、硫安が酵素活性法であるソモギーネルソン法を妨害する事が判り、疎水クロマトグラフィーを断念した。硫安塩析後、DEAEイオン交換クロマトグラフィーを行った。現在、ゲルクロマトグラフィーを行っているところである。 3.Microbacterium kitamienseの生産する多糖類分解酵素生産菌の分離 各地の土壌から酵素生産菌を分離し、活性の高い2株を選んだ。その2株の生理学的生化学的性質、キノン分析、脂肪酸分析の結果、ArthrobacterとRhodococcusと同定した。Rhodococcusと同定した細菌は新種の可能性があったので、現在、16SrRNA塩基配列からの系統解析を行っているところである。
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