本研究においては、グラム陽性菌である枯草菌の情報伝達系である2成分制御系 YycG-YycFの分子機構の解明と、その情報伝達阻害剤の開発研究が行われた。その結果以下のことが、明らかになった。特に、今回単離された阻害剤はYycG-YycF情報伝達阻害剤として機能するだけでなく、今日問題になっている種々の薬剤耐性菌である、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)やメチシリン耐性黄色ぶとう球菌(MRSA)にも大変有効に働くことが判明した。今後、さらに木研究で開発したスクリーニング法を用い、実際に有価証券効な薬剤開発が可能になる。 本研究で得られた成果 1.YycG-YycFに制御される遺伝子群が存在することが、DNAマイクロアレイ解析から明らかになった。(平成14年度日木農芸化学会大会で、発表) 2.調節因子であるYycFは細胞分裂制御遺伝子ftsAのプロモーター部位へ結合することが、DNAaseフットプリンテイングより明らかになった。 3.種々の合成化合物ならびに天然抽出物から、特にYycGの自己リン酸化活性(ヒスチジンキナーゼ)の阻害を指標に、薬剤耐性菌に有効な物質の同定に成功した(平成l4年度日本細菌学会、ワークショップ)
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