研究概要 |
好熱性PCB分解菌Bacillus sp.JF8株のbphC遺伝子を既にクローニングしているが、この上流域にbphA,bphB及びbphD遺伝子が存在することが明かとなり塩基配列を決定を行った。その結果、bphD,bphA1,bphA2,bphB,bphCの順にORFが見い出された。BphDのアミノ酸配列の相同性は従来報告のある常温菌のものに比べて最大36%程度と低く進化的に離れていることが明かとなった。BphA1は30%前後、BphA2は40%前後であった。これに対しBphBは50%程度の相同性があり常温菌のものと近いことがわかった。bphA1遺伝子の上流にはLysRタイプファミリーに属する制御遺伝子と考えられるORFが見い出され、現在解析中である。 ビフェニルで生育したJF8株の無細胞抽出液からメタ開裂物質加水分解酵素を電気泳動的に精製しN-末端アミノ酸配列を決定したが、塩基配列から推定したものと40残基が完全に一致し、クローニングしたbphD遺伝子が分解に関与しているものと考えられた。メタ解裂酵素(BphC)が好熱菌のもの由来を反映して熱に非常に安定であったが、メタ解裂物質加水分解酵素(BphD)も熱に対して非常に安定であった。基質特異性はBphCが多くのカテコール誘導体を基質にしたのに対し、BphDは2,3-ジヒドロキシビフェニルのメタ解裂物質に特異的であった。さらに、メタ解裂酵素BphCと同様に、従来報告されている常温菌の酵素とKm値等異なる点が多かった。
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