研究概要 |
前年の本計画の実績に加え、報告者らに酸化ソルビシリン二量体の生合成鍵化合物と目される化学的に不安定な新規化合物sorbicillinolの存在を明らかにすることに成功したことから、本年度の研究は当初の計画を微修正しTrichoderma sp. USF-2690株の培養ろ液かち単離した酸化ソルビシリン二量体の生合成前駆物質と考えられるsorbicillinol、sorbicillinの生合成と、2分子のsorbicillinolからbisorbicillinolへの、及びoxosorbicillinolからbisvertinoloneへの生合成経路を明らかにすることを目的としている。 まず、^<13>Cラベル酢酸ナトリウム(^<13>CH_3^<13>COONaとCH_3^<13>COONa)を別々にかびUSF-2690株の培養液に加え24時間後にsorbicillinol (1)を安定な6-O-acetyl体へと誘導して単離し^<13>Cラベル6-O-acetyl-1([1,2-^<13>C_2]-6-O-acetyl-1と[1-^<13>C]-6-O-acetyl-1)を得た。^<13>C-NMR、INA-DEQUATEスペクトルの解析から、1がヘキサケチドから従来予想されていたのとは異なる閉環様式をとって生合成されることが明かとなった。次に[1-^<13>C]-6-O-acetyl-1を加水分解して[1-^<13>C]-1とした後、USF-2690株の培養液中に添加して一定時間培養を行った。得られた培養ろ液を精製し、^<13>Cラベルsorbicillin (2)、bisorbicillinol (3)を得た。さらにCH_3^<13>COONa添加により得たoxosorbicillin (4)の添加実験により^<13>Cラベルbisvertinolone (5)を得た。^<13>C-NMR解析の結果、二量体5の生合成前駆体2分子のうち1分子は4であることが明かとなった。
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