生体成分、組織を主な試料としCCDカメラによるフォトン検出から、生体成分、組織のX、Y、Z種の分布、局在カ所の検討を行った。その結果、肝臓、心臓、腎臓などの主な臓器および皮膚など組織細胞はZ種であり、血液を始めとする内液はY種であることを明らかした。これら内容については邦文一般紙に掲載し、医学関係者からも高い評価を得ている。特に健常人、活性酸素関連疾病者、酸素ストレス条件下(喫煙など)での血漿の微弱発光量の比較は、この発光法が臨床検査の一つとしてなりえることを示しており予想外の成果をあげることができた。しかしながら、全血による発光分析については未知Z成分の介入など複合的要因が多く、臨床と発光とを結びつけるにはさらなる研究が必要である。また、今回新たに開発したPhoton-HPLCシステムでX、Y、Z種の定量化を行ったことで、食品、植物、生体内発光物質を過酸化水素量、没食子酸量、金属タンパク質量に換算することにより、それぞれのX、Y、Z活性を比較できるようになった。さらに既知X、Y、Z試薬を効果的に組み合わせた定量法で生体微弱発光物質の検出をナノ、ピコモルレベルまで定量化できるようになった。生物発光、化学発光の国際学会で発表し、その定量法については高い評価を得ることができた。また、これまで1重項酸素のモデルケースであったラクトペルオキシダーゼの発光の定量化とその特性を研究した内容はこれまでの発光機構を覆すものであり、当研究の目的である生体発光の機構解明の核心として大きく貢献するものである。モデル食品素材の開発の一つとして食品をCCDカメラによるフォトン検出、Photon-HPLCシステムで分析した結果、数種類の食品素材、食品成分からX活性とY活性に相関性を見いだし、これまで知られていた活性酸素消去物質あるいは抗酸化物質の活性酸素消去機構を考えるうえでの貴重な知見を得た。
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