生体成分、組織を主な試料としCCDカメラによるフォトン検出から、生体成分、組織のX、Y、Z種の局在箇所の検討を行った。その結果、健常人血清のY発光、Z発光基準値を明らかにすることができた。癌、膠原病などの病態患者血清からはXY発光、XZ発光が検出され自己免疫性疾患で高い傾向にあった。この結果は本研究で開発した活性酸素消去発光が臨床検査、健康診断として適用できることを示唆している。これら内容については一般邦文誌に掲載、医学関係者からも高い評価を得ている。疾病時における採血は患者に対し非常に大きなストレスとなることを考慮し、全血による発光分析を検討した。その結果、数滴の血液を濾紙に吸着させることで効率良く発光検出できる方法を開発した。今回開発したPhoton-HPLCシステムを用い、血清Y成分としてアルブミンを、お茶、バナナ成分としてカテキンをそれぞれ単離することができた。また数種の食品からX成分を確認した。Y成分とX成分の分析結果から、食品中にみられるX成分の多くはY成分のhydroperpxide様物質であることが示唆された。ワインではアントシアニンの重合に活性酸素の発生が関与することを明らかにした。劣化ワインのX発光と味覚テストの高い相関性は活性酸素消去発光検出が食品の品質管理に応用できることを示している。また、今回最も強いY発光を検出したバナナを健常んに摂取させ血液分析を行った結果、血清中Y発光はバナナ摂取後1-3時間で有意に高くなることがわかった。これら一連の結果から食品摂取後の血液分析が各疾病に合わせた予防、治療のための有効な食品の組み合わせを創出し、食品を薬物治療の補助的な位置へと向上させ得る可能性が示唆された。
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