赤キャベツに含まれる粗アントシアニン(Ant)および3種の主要アシル化アントシアニンのAcAnt(3-O-{6-O-sinapyl-2-O-(β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl}-5-O-(β-D-glucopyranosy)cyanidin、3-O-{6-O-feruryl-2-O-(β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl}-5-O-(β-D-glucopyranosy)cyanidin、および3-O-{6-O-p-coumaryl-2-O-(β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl}-5-O-(β-D-glucopyranosy)cyanidinの混合物)の生体酸化防御機能について、過酸化が進行しやすいストレプトゾトシン誘起糖尿病ラットを用いて検討した。その結果、Antを0.15%、あるいはAcAntを0.05%添加した飼料を給与した群では、糖尿病ラットにみられる肝臓・腎臓の脂質過酸化物(TBARS)の上昇を有意に抑制、あるいは抑制する傾向にあった。肝臓のSOD、GSH-Px、カタラーゼ活性はいずれも糖尿病ラット群で低下、もしくは低下の傾向を示したが、Ant、AcAntによる有意な回復はみられなかった。肝臓の総GSH量、GSSG/GSH比はいずれも糖尿病ラット群で上昇し、Ant、AcAntの給与で上昇が抑制、もしくは抑制される傾向にあった。腎臓では糖尿病ラット群で、GSSG/GSH比が有意に上昇し、Ant、AcAntによってその上昇が有意に抑制された。これらの結果から、Ant、AcAntは生体過酸化の亢進に防御的に作用すること、また、Antの生体酸化防御機能は主としてAcAntによって発現されている可能性などが示唆された。
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