研究概要 |
3種の主要アントシアニン(cyanidin-3-O-rutinosyl glucoside,cyanidin-3-O-diglucoside,cyanidin-3-O-glucoside)から構成されているボイズンベリ-アントシアニン、赤キャベツの3種の主要アシル化アントシアニン[3-O-{6-O-sinapyl-2-O-(β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl}-5-O-(β-D-glucopyranosy)cyanidin、3-O-{6-O-feruryl-2-O-(β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl}-5-O-(β-D-glucopyranosy)cyanidin、および3-O-{6-O-p-coumaryl-2-O-(β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl}-5-O-(β-D-glucopyranosy)cyanidin]が生体内で示す機能について、ガラクトサミン誘発肝障害ラットを用いて検討した。いずれのアントシアニンも肝障害に伴う血漿GOT、GPTおよびLDHの上昇、また肝臓中α-トコフェロール量と酸化型グルタチオン/還元型グルタチオン比の上昇などを抑制、あるいはを抑制する傾向にあった。これらの結果は、本実験に用いたこれらのアントシアニンが、ガラクトサミン投与により活性化したマクロファージによる活性酸素の生成を介する生体内酸化に対して防御的に作用すること、また、酸化ストレス状態では、末梢からの肝臓へのα-トコフェロールが動因が起きるか、肝臓から血中へのα-トコフェロールへの放出が抑制されること、さらにはまたアントシアニンはこれら諸症状を改善することを示した。また、肝臓ホモジネートのAAPHラジカルに対する酸化抵抗性はガラクトサミン投与で減少し、アントシアニンの給与はその減少を抑制することから、吸収されたアントシアニンあるいはその分解物が直接的に、あるいは生体内抗酸化性物質の濃度や抗酸化系酵素の活性制御を通し、抗酸化的に作用していることが示唆された。
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