研究概要 |
1. パイエル板におけるインターロイキン(IL-)5, IL-6産生機構の解析 パイエル板におけるIL-2レセプター(IL-2R)を発現し刺激に対しIL-5を分泌する細胞が,T細胞,B細胞.樹状細胞、マクロファージ、NK細胞のいずれでもないことを既に確認していたが,さらに好酸球、マスト細胞とも異なることが示された.また,パイエル板細胞からこの細胞群を除去した場合,IL-2刺激,抗CD3抗体刺激により誘導されるIL-5の分泌が大きく低下し,この細胞がパイエル板細胞のIL-5産生に大きく寄与していることが示唆された、一方,パイエル板樹状細胞はin vitroにおいてIgA産生を誘導し、抗IL-6抗体の添加によりこのIgA産生は阻害された.このことから,パイエル板樹状細胞がIL-6産生により腸管におけるIgA産生に関与することが示唆された.さらに,パイエル板樹状細胞のうちCD11b陽性のミエロイド系樹状細胞のIL-6産生が高いことが明らかになった.また,この細胞群は成熟マーカーDEC-205を発現している細胞が多く存在し,腸内の微生物や食物による刺激により成熟が促進されている可能性が考えられた. 2. 経口免疫寛容の誘導におけるT細胞内シグナル伝達機構の解析 経口免疫寛容状態のT細胞についてIL-2Rからのシグナル伝達経路について解析したところ,IL-2Rの発現量やJAK-STAT系の活性化には非寛容T細胞と違いがなかった.一方,IL-2刺激による細胞周期抑制分子p27kip1の分解が抑制されており,これがIL-2に対する低応答性の要因であると考えられた.
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