IкBαの塩素化部位の検討: IкBαを^<36>Clと^3Hで標識したタウリンクロラミン(Tau-Cl)で処理しSDS-PAGEで電気泳動後イメージング解析を行ったところ、シフトしたバンドは^<36>Cl標識体で処理した時に検出され、IкBαの塩素化が示唆された。Tau-Clで処理したIкBαをアミノ酸分析した結果、Cl-Tyrosineの溶出時間にピークが現れ、Tyr残基が塩素化されている可能性が示された。IкBαをTau-Clで処理しlysylendopeptidaseで切断後電気泳動を行った結果、42番目のTyrが塩素化されている可能性を示唆するデーターを得た。そこでTyrをPheに変換したIкBαY42Fを作製しTau-Clで処理をしたが、IкBαの塩素化が観察された。IкBαには全部で8個のTyr残基があり他のTyrをPheに変換して、塩素化部位がTyr残基であるかどうか検討中である。また塩素化させたIкBαを適当なプロテエースで切断し、マススペクトルで質量差から塩素が入った断片を検索中でもある。 脱塩素化酵素の探索: 前骨髄性白血球細胞株HL-60をTau-Clで処理し、その後24時間IкBαの塩素化シフトバンドをウエスタンブロットで観察した。処理後6時間後にシフトバンドが消失し、脱塩素化過程が存在するかもしくは塩素化したIкBαがプロテエースで分解しているかのどちらかの可能性が示唆された。次にin vitro系で検討した。大腸菌に生産させたIкBαをTau-Clで処理し、プロテエースの阻害剤を添加した細胞のライセイトと6時間インキュベートした。その結果、IкBαの塩素化によるシフトバンドも処理後6時間で消失しなかった。この実験結果より、塩素化したIкBαはプロテエースで分解されるようである。現在、他の細胞でも同様なことが観察されるか検討中である。
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