研究概要 |
昨年に引き続いて、リゾチームの抗菌性をグラム陰性菌に拡大するために、リゾチームのC-末端に種々の長さやアミノ酸配列の異なるβ構造型疎水性ペプチド並びに塩基性アミノ酸と疎水性アミノ酸からなる両親媒性αヘリックスを導入するようにcDNAを改造し、酵母発現ベクターに組込み、形質転換した酵母を用いて大量に培養し、抗菌性改変リゾチームを発現、分泌させた。酵母pichia pastoris発現系を用いてβ-構造型疎水性ペプチド導入リゾチーム(H5リゾチーム)を分泌させ、S. cerevisiaeに比べ、約400倍の分泌に成功した。この結果得られたH5リゾチームはグラム陽性菌は勿論のことグラム陰性菌にも抗菌性を示すことが明らかにできた。また、疎水基の付加により、構造安定性は、溶菌性は保持されており、産業的な利用が可能であると考えられる。また、α-ヘリックス型ペプチド(KLKL_3KLK, KLKL_5KLK)を融合させた場合は、発現量が極めて少ないことが示された。今後、こうして得られた種々のペプチド融合リゾチームのグラム陰性菌に対する抗菌性を調べ、最適のペプチドサイズ、配列、二次構造を最適化することが必要である。
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