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2003 年度 実績報告書

緑茶カテキン類および茶高分子成分の癌細胞アポトーシス誘導メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 12660119
研究機関静岡県立大学

研究代表者

伊勢村 護  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (40028197)

キーワード緑茶 / カテキン / アポトーシス / がん細胞 / DNAチップ / エピガロカテキンガレート / 茶高分子成分 / 抗がん
研究概要

多くの抗がん剤が癌細胞にアポトーシスを誘導することが知られているおり、アポトーシス誘導物質には抗癌作用があると期待される。これまでに、緑茶カテキンや茶の高分子成分にアポトーシス誘導活性があることを明らかにした。今回、緑茶主要カテキンであるエピガロカテキンガレート(EGCG)および紅茶の高分子成分(BTND)の遺伝子発現に対する影響を調べた。その結果、EGCGおよびBTNDはU937細胞のc-fos、c-jun、c-mycのmRNAレベルを上昇させることがわかった。DNAチップによる解析では、EGCG処理ではほとんど影響がなかったが、BTND処理では、IL-1、IL-8、ビメンチンなどのレベルの上昇およびmRNAムチン1、テネイシン、TNFレセプターファミリー5などのmRNAの減少がみられた。さらに、細胞内情報伝達経路を調べた結果、EGCGはU937細胞の活性酸素種発生を誘導し、ASK1、MKK、p38 MAPキナーゼ系を介してカスパーゼ3の活性化を導き、アポトーシスを誘導することがわかった。
一方、EGCGは正常ヒト線維芽細胞WI38に影響を与えない濃度でそのSV40ウィルス転換細胞であるWI38VAの増殖を完全に抑制することが確かめられた。DNAチップ、RT-PCR、定量的PCRを用いて解析した結果、WI38VAでは、活性酸素消去に関わるSOD2の遺伝子発現がWI38に比べて、非常に低いことがわかった。EGCGは、これらの細胞に活性酸素種を発生させることも確かめられた。従って、癌化細胞の低いSOD2遺伝子発現がそのEGCG誘導アポトーシスに対する強い感受性に関係していると考えられる。
以上のように、本研究によって茶成分による癌細胞アポトーシス誘導のメカニズムの一端が明らかになり、緑茶飲用によりその癌予防効果が期待できることが示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 伊勢村 護(共著): "Association of suppression of extracellular signal-regulated kinase phosphorylation by epigallocatechin gallate with the reduction of matrix metalloproteinase activities in human fibrosarcoma HT1080 cells."Journal of Agricultural and Food Chemistry. 51・7. 1858-1863 (2003)

  • [文献書誌] 伊勢村 護(共著): "Identification of 6-methylsulfinylhexyl isothiocyanate as an apoptosis-inducing component in wasabi."Phytochemistry. 62・5. 733-739 (2003)

  • [文献書誌] 伊勢村 護(共著): "緑茶成分によるアポトーシス関連分子の発現調節"栄養-評価と治療. 20・2. 159-163 (2003)

  • [文献書誌] 伊勢村 護(共著): "Food Factors in Health Promotion and Disease Prevention"American Chemical Society, Wahington DC. 9 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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