研究課題/領域番号 |
12660120
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
金本 龍平 京都府立大学, 農学部, 助教授 (70147297)
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研究分担者 |
佐藤 健司 京都府立大学, 人間環境学部, 助教授 (00202094)
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キーワード | レジスタントプロテイン / 大豆たんぱく質 / 抗ガン食品 / 胆汁酸 / 腸肝循環 / ラット / 大腸ガン / 肝ガン |
研究概要 |
大豆分離たんぱく質を微生物由来プロテアーゼで処理した後に残る不消化画分(UDF)は優れた胆汁酸結合能を有する。我々はこれまで大豆UDFが実験大腸発癌および肝発癌を強く抑制することを報告してきたが、これはUDFの一部がレジスタントプロテインとなり、胆汁酸を腸管内で捕捉し糞中排泄を促進するためであると考えている。本研究は、このような大豆たんぱく質に由来するレジスタントプロテインの実体を明らかにし、それを用いた抗ガン食品の開発を目的としている。平成12年度はUDFを人工消化し、消化残渣の解析からその実体を明らかにすることを試みた。 【方法】大豆UDF懸濁液をペプシン、ついでパンクレアチンで人工消化し、消化残渣を遠心分離で回収した後、凍結乾燥したものをRF-UDFとした。RF-UDFと大豆UDFを異なる濃度のデオキシコール酸溶液に懸濁しin vitroでの結合能を比較した。続いて、9週齢のフィシャー系雄ラットに、大豆UDF、RF-UDFを与え、経時的に糞を採取し、糞中窒素量と胆汁酸排泄量を比較した。 【結果と考察】大豆UDFからおよそ30%の収量でRF-UDFを得ることができた。RF-UDFのin vitroでの胆汁酸結合能はUDFのおよそ2倍であった。また、餌に混ぜてラットに与えたところ10%のRF-UDFで20%UDFと同等の窒素排泄量と胆汁酸排泄促進効果が得られた。また、そのアミノ酸組成は、元のUDFより疎水性アミノ酸含量が増加しており、糞を加水分解して得られるアミノ酸組成ときわめて類似していた。以上の結果は、UDFの疎水性部位がレジスタントプロテインとなり、胆汁酸を結合するという我々の考えを裏付けている。
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