研究課題/領域番号 |
12660120
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
金本 龍平 京都府立大学, 農学部, 助教授 (70147297)
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研究分担者 |
佐藤 健司 京都府立大学, 人間環境学部, 助教授 (00202094)
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キーワード | レジスタントプロテイン / 大豆たんぱく質 / 抗ガン食品 / 胆汁酸 / 腸肝循環 / ラット / 大腸ガン / 肝ガン |
研究概要 |
申請者らは、大豆分離たんぱく質(SPI)を微生物由来プロテアーゼで処理した後に残る不消化画分(UDF)が、胆汁酸による大腸・肝臓発ガンプロモーター作用を強く抑制することを見いだした。昨年度までの研究で、これはUDFに由来するレジスタントプロテインが、消化管内で胆汁酸を疎水結合により捕捉するためであること、さらに、UDFをペプシン、パンクレアチンで消化した残渣(RF-UDF)はUDFより強い胆汁酸結合能を有し、アミノ酸分析の結果から、UDFの疎水性部位がレジスタントプロテインとなり、胆汁酸を結合すると言う知見を得た。本年度はRF-UDFの体内胆汁酸動態への影響と、胆汁酸補足部位の解明、および胆汁酸補足機構を検討した。 【方法、結果、考察】ラットにたんぱく源としてSPI、UDF、RF-UDFを含む飼料にコレステロールを添加して与え4週間飼育した。糞中胆汁酸およびコレステロール排出量はRP-UDF>UDF>SPIの順に多く、これと逆送関する形で血中コレステロールと胆汁酸が減少した。これらの効果は、糞中に排泄される不溶性ペプチドの量に依存していた。この不溶性ペプチドとRF-UDFは共に疎水性が強く、アミノ酸組成には高い類似性があった。また、いずれも様々な界面活性剤、尿素、グアニジンなどによっても可溶化出来ず、用いた限りのプロテアーゼによっても、ほとんど分解されなかった。塩酸によって部分加水分解し、単離精製できたオリゴペプチドのアミノ配列はすべてβ-conglycininのα鎖の2カ所、β鎖の1カ所のいずれかに一致し、LLPHを共通配列として持つ疎水性の高いペプチドであった。以上のことから、SPIからUDFを生産する際に、β-conglycininの疎水性の部位をコアとして、架橋などの修飾が生じ、難消化性となった部位がレジスタントプロテイン;RF-UDFとして、糞中に排泄されるものと考えられた。なお、β-conglycinin見いだされた配列を基にペプチドを合成し、胆汁酸との結合を調べたが、いずれのペプチドも胆汁酸との直接的な結合は認められなかった。従って、現時点ではこれらの配列を中心に形成される疎水領域に胆汁酸が捕捉されるのではないかと考えている。また、RF-UDFの抗癌効果や食品への導入は、未だ十分な量を得ておらず、今後の課題として残された。
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