研究概要 |
本研究ではメイラード反応最終生成物であるメラノイジンの重合機構の解明とメラノイジンの新たな3次機能として免疫抑制活性について焦点を絞り計画されたものである。 第1にメラノイジンの化学構造や重合機構を解明することを目的として、メラノイジン前駆体である青色色素(Blue-M1)の生成に重要な前駆体であるN-カルボキシメチルピロールアルデヒド(CMPA)を同定した。Blue-M1の前駆体である黄色色素の生成機構について検討を加えたところ前年度同定したジカルボニル化合物であるキシロソン(XLO)と3-デオキシキシロソン(3DX)がグリシンと縮合して2種の黄色色素前駆体が生成され、それらがCMPAと縮合し、2種の黄色色素の生成へと至ると考えられる。 Blue-M1は2種の黄色色素の脱炭酸を伴う反応で生成すると考えられた。また、分子量の大きい青色色素Blue-M2,Blue-M3はBlue-M1に黄色色素がそれぞれ1分子、2分子付加して、高分子か起こり、メラノイジン生成に至ると考えられた。 第2にメラノイジンのアレルギー抑制作用について検討した。アレルギー反応の指標としては、Th1型サイトカインであるIFN-γmRNAの発現量を用いた。7〜8週齢メスのマウス(BALB/c)にオバルブミン(OVA)を免疫し、10日後に脾臓を摘出してRPMI-1640を基本とする培地で培養した。メラノイジンの共存下、非共存下でOVAによる抗原刺激を行い、48時間後のIFN-γmRNAの発現量を検討した。その結果、抗原刺激時に0.001%メラノイジンを共存させるとIFN-γの発現量は増大することが明らかとなった。一方、メラノイジンはTh2型サイトカインであるIL-4mRNAの発現量に影響を及ぼさなかった。このことから、メラノイジンは相対的にTh1を優勢とし、アレルギー抑制作用を有する可能性のあることが示された。
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