研究概要 |
1.アシル化アントシアニン色素の単離 (1)紫甘藷"アヤムラサキ"塊根および赤アサガオ"スカーレットオハラ"花弁からアシル化アントシアニン系色素(AAN)類の精製・分離をXAD-2000吸着樹脂,PVPなどのオープンカラムやODS分取HPLCシステムなどを用いて行った。その結果,紫甘藷塊根からYGM-0a,0b,of,3,4b,5b,6および赤アサガオ花弁からSOA-1,2などをトリフルオロ酢酸塩の形で単離できた。 (2)単離AAN類の構造を確認するため,フォトダイオードアレイ検出器-HPLC(PDA-HPLC)分析を行った。また,ESI/TOFMS測定による分子量確認を行った結果,UV-Visスペクトルや分子イオンピークの質量数などから単離AAN類の構造はいずれも予想通りであることを確認できた。 2.人工腸液中でのアントシアニン色素の退色検討 (1)ペオニジン系のAAN類を用いて腸管環境下(pH6.8,37℃)で24時間まで放置し,反応液の組成をPDA-HPLCで検討した。その結果,いずれのAANも,残存フラビリウム型色素(AH^+)の他に主に2種の退色分子種(dAAN)が見いだされた。これらはUVスペクトルからシュードベース(B)およびカルコン(C)と考えられた。さらに,色素の構造によって退色パターンが異なることも判明した。すなわち,1.カフェ酸を多く持つAANほどB/Cの比が小さくなる。2.カフェ酸をG_bグルコースにもつ場合にはアンヒドロベース(A)が出現する。3.カフェ酸の代わりにフェルラ酸をG_bグルコースにもつ場合(YGM-6)にはほとんど変化しないことなどが判明した (2)現在,退色させた反応液を用いてdAANの精製・分離を各種吸着カラムや分取HPLCシステムなどを用いて検討中である。
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