• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

樹冠層に生息する節足動物群集の質的・量的特性

研究課題

研究課題/領域番号 12660132
研究機関名古屋大学

研究代表者

肘井 直樹  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (80202274)

キーワード樹冠層 / 節足動物群集 / スギ人口林 / カラマツ人口林 / シジュウカラ / ヤマガラ / 鱗翅目幼虫 / 育雛餌
研究概要

餌資源量の異なる2調査区(スギ区,カラマツ区)における昆虫食性鳥類,シジュウカラ(Parus major),ヤマガラ(P. varius)の繁殖密度と繁殖特性は,他の自然生息地における記録に匹敵しており,繁殖成功率は,シジュウカラで99.0%,ヤマガラで88.3%と高かった.調査区間の鱗翅目・膜翅目幼虫資源量の違いにもかかわらず,カラ類2種の繁殖つがい数,一腹卵数,繁殖成功率には調査区間で差がなく,育雛期間の長さにおいてのみ差が認められた.カラ類の繁殖時期は,落葉広葉樹における鱗翅目・膜翅目幼虫資源の発生消長と同調していたが,針葉樹における幼虫資源の発生消長との同調性は認められなかった.
針葉樹人工林におけるカラ類2種の給餌生態を,育雛餌の「種構成」と「餌供給量」の2点から明らかにし,針葉樹人工林における給餌生態を他の生息地における報告と比較した.育雛餌の種構成は,鳥種間,調査区間で異なっていた.シジュウカラの育雛餌は,他の生息地における記録とは大きく異なっており,スギ区においては直翅目(61-73%)を,カラマツ区においては鱗翅目・膜翅目幼虫(46-63%)をもっとも主要な育雛餌として利用していた.一方,ヤマガラは,いずれの調査区においても鱗翅目・膜翅目幼虫をもっとも主要な育雛餌(69-91%)として利用していた.餌動物の種構成比と体サイズ分布は,採餌場所間で異なっていた.落葉広葉樹樹冠部や下層植生には,幅広い体サイズの鱗翅目・膜翅目幼虫が生息しており,カラ類2種ともに利用可能な餌資源の供給源と考えられた.スギ樹冠部には,大型の直翅目が生息することから,大型の食餌動物を選好するシジュウカラにとって有効な採餌場所であると考えられた.カラマツ樹冠部には鱗翅目・膜翅目幼虫は多いものの,小型の個体が大部分を占めるため,カラ類の採餌場所としての利用可能性は落葉広葉樹と比較して低いものと考えられた.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Hijii, Naoki: "Estimating density and biomass of canopy arthropods in coniferous plantations : an approach based on a tree-dimensional parameter."Forest Ecology and Management. 144. 147-157 (2001)

  • [文献書誌] Mizutani Mizuki: "Mesuration of frass drop for evaluating arthropod biomass in canopies : a comparison among Cryptomeria japonica, Larix kaempferi, and deciduous broad-leaved trees."frorest Ecology and Management. 154. 327-335 (2001)

  • [文献書誌] Mizutani, Mizuki: "The effects of arthropod abundance and size on the nestling-diet of two Parus species."Ornithological Science. 1. 8-15 (2002)

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi