(1)平成13年度は実際の建築用針葉樹製材として柱材をとりあげ材内の含水率状態の把握と表面割れの有無の観察を行なった。とくに針葉樹材であるトドマツは材内に水食いという高水分状態の心材部があるが、この水分分布について観察した。その結果は論文2で報告した。水食い部は含水率が200%を超える部分が見受けられた。 (2)水食いのあるトドマツ製材を20℃、65%の恒温恒湿湿内で擬似天然乾燥を行なった結果、表面割れの発生は見られなかった。 (3)実大の柱材を対象として、半年間室内(環境条件は平均室温21℃、相対湿度75%)にて乾燥試験を行い、それらの材内部含水率、材表面割れの発生について経時変化を調べた。用いた樹種は針葉樹でベイツガ、ベイマツ、スギの柱材(105mm角)。それらの含水率レベルが異なる材とした。材表層(深さ20mm)と材中心部(深さ50mm)の含水率を測定し、その差を含水率の傾斜とした。特にスギ柱の生材については含水率傾斜が大きかったが、表面割れの発生は認められなかった。 (4)スギ人工乾燥材(柱材と板材)について日射を受ける居住宅室内に放置しておきその含水率変化、材面の状態変化を測定した(論文1)。表面割れは認められなかった。 以上、まとめると木材が使われる室内環境条件での乾燥を行なったが、通常の室内温度湿度条件では乾燥にともなう表面割れは発生しないという知見を得た。
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