研究概要 |
ビオチンヒドラジドを還元的アミノ化により還元末端に安定的に導入した後、ストレプトアビジン金標識物で電子顕微鏡的に可視化する方法を開発し、これを関連する多糖の構造解析や酵素による合成、分解過程の観察に適用した。すなわち1.天然ミクロフイブリル構造の解析と合成方位 2.結晶多系の解析 3.酵素分解における選択性 4.酵素の結合部位の選択性の4項目について検討した。 各項日ごとに要約すると以下の通りである。 (1)セルロースI,β-キチンともにパラレルアップ(還元末端がc軸方位と一致する)であり、合成方位に関しては重合が非還元末端で起こることが示された。α-キチンについては標識は片端のみに認められ、逆平行鎖構造と矛盾する結果を得た。 (2)セルロースIIとIII_Iを検討した。前者は両端に染色されることがあるが、後者は全く片端のみが染色された。結果は前者が逆平行、後者が平行鎖構造であることと矛盾しない。 (3)セラチア菌の生産するChitinase AとBのβ-キチンに対する分解挙動の比較をしたところ、ChiAはミクロフィブリルの還元末端側から分解するのに対して、ChiBは非還元末端側から分解することをが明らにした。 (4)トリコデルマ起源のセロビオヒドロラーゼの結合モジュールが、セルロースの矩形断面の対角上にある2角(100面)に選択的に結合していることが示され、モジュール内の仮説が支持された。
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