研究課題/領域番号 |
12660156
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
寺下 隆夫 近畿大学, 農学部, 教授 (90088203)
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研究分担者 |
坂井 拓夫 近畿大学, 農学部, 教授 (50081500)
鈴木 彰 千葉大学, 教育学部, 教授 (50110797)
北本 豊 鳥取大学, 農学部, 教授 (10032294)
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キーワード | シイタケ / 子実体形成 / トレハロースホスホリラーゼ / トレハラーゼ |
研究概要 |
きのこ類においては、トレハロースは主要な転流炭水化物として、また、低分子の貯蔵糖として、きのこの成長に最も重要な成分である。本糖はトレハラーゼ(Thase)やトレハロースホスホリラーゼ(Tpsae)によって分解と合成が行われていると考えられているが、その詳細は今なお不明である。 そこで、食用きのことして最も重要なシイタケを用い、これらの点の解明を目的に検討を行った。実験には液体培養で子実体を形成するシイタケ菌を選択し、まず、シイタケにおけるこれら酵素の存在と子実体の形成に伴うThaseおよびTpaseの分解活性の変動について調べた。Thase活性は培養液、栄養菌糸および子実体に、Tpase活性は栄養菌糸と子実体のみに存在した。培養液のThase活性は栄養菌糸の生育に伴って上昇し子実体の原基形成期にピークを迎え、栄養菌糸では培養液の場合と同様に菌糸生育に伴って上昇し、未熟子実体の形成時期まで一定の高さを保ち、成熟子実体形成期にピークに達した。一方、Tpaseは栄養菌糸生育時に活性のピークを示した後、一旦下降し、子実体形成時に再び上昇した。これらの結果とコロニー各部位のトレハロースとグルコースの量的変動から、Thaseは主に子実体の成長にTpaseは栄養菌糸の生育に強く関わっていると推察された。この内、培養液と栄養菌糸中のThaseの精製を試みた結果、培養液のThaseは精製倍率1,510倍、収率5.3%、栄養菌糸のそれは精製倍率6,070倍、収率1.1%で電気泳動的に均一な酵素標品にまで精製できた。きのこ類からのThaseの精製例は今まで報告が無く今回が最初であるが、両酵素は糖蛋白質でいずれも酸性トレハラーゼであった。これらの酵素の詳細な性質は現在検討中である。
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